公演概要
  公演趣旨
  出演者
  公演目的
  作品概要
  台本
  Kim Sang Soo
  2003・東京公演記事
  Photo
  2001年
   韓国- ソウル公演
  2001年
   日本- 大阪公演
  kimsangsoo.com

2003年<島・isle>東京公演趣旨

  2001年10月、金相秀(キム・サンス)は誰にも告げる事なく静かに日本の大阪の地を踏んだ。
 当時、日韓両国は教科書問題で冷たい状況下にあった。この時、作家金相秀(キム・サンス)は文化・国情の壁を乗り越えることが必要であると痛感した。
 彼は近くて遠い宿命の隣国といわれる日本において、自らの創作演劇の台本を日本語に翻訳・翻案したばかりでなく、俳優だけではなくスタッフもすべて日本人でかため上演する事を決定する。このような試みの意図のうちにあるものとは、韓国芸術の普遍性を通して21世紀の人間の生き方に問題提起をし、韓国と最も近い国である日本で、問題提起をなす事に意味があると考えたからである。
  2001年2月、金相秀(キム・サンス)は8年ぶりに、韓国国立劇場で<島・isle>を上演した。さらに同年12月に日本語で日本人によって日本で上演した理由は、次の通りである。第一に、世界の実態は存在論的な構造ではなく関係論的構造である事を日本に伝えるためである。第二に、世界の経済大国である日本の論理の是非が人類の生き方に及ぼす影響力に注目したからである。

現在の日本と韓国は、高度成長を基本に歩んできた現代社会の典型的な国である。継続的な生産、消費の増大を通じ数多くの物量的な豊かさと浪費に基づいた消費主義文化を作り出す過程で人間らしい生き方の基盤が毀損されている。今後、人間が続けて生存する可能性が不透明になる凄まじいくらいの生態的な災厄が訪れた。これに対し金相秀(キム・サンス)は、何が問題の根源であるかを直視させるため、<島・isle>を通じて提案する事を決意した。
 また日本人俳優・スタッフ・日本語の台詞を用いて日本で上演する理由は、長い間日韓の文化芸術交流が間接的で限定的(今まで日本に紹介された韓国芸術文化は殆ど民俗的な公演が主流であった。しかも韓国を紹介するという事を目的とした公演は日本語による字幕公演が多い)な公演ばかりが目立っていたからである。しかし21世紀の新しい文化交流は現代芸術文化の直接的ですぐに伝わる臨場感溢れる、いわば現地化させて成立させるというような積極的な方法が要求されるであろう事が自覚されるからである。
 このように新しい物を得る為の努力は衰退したものを捨てる事であり、古い退行的習慣を打破することである。これは新しい
アイディアを基に果敢に行動し、成果をあげようとする芸術家金相秀(キム・サンス)の熱情的な姿勢である。
 世界を舞台に活躍する韓国総合芸術家金相秀(キム・サンス)の演劇<島・isle>は想像力を刺激し、その舞台は日本の現在なのである。